2024-01-19
この記事は、RSGT2024のKeynote「Dynamic Reteaming, The Art and Wisdom of Changing Teams」より、印象に残ったワークについてまとめるものです。
はじめまして or こんにちは、zomysan と申します。スクラムとの付き合いは2年ほどで、現在はスクラムチームでフロントエンドエンジニアとして働いています。2022年に Certified Scrum Master(CSM)の資格を取得しました。
今回、会社の先輩スクラムマスターである @pokotyamu のすすめでRSGT2024に初参加してきました。
2024年1月10日〜12日、お茶の水ソラシティにて開催された Regional Scrum Gathering Tokyo 2024(以下RSGT2024)に現地参加してきました。
RSGT とは、一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会によって運営・開催され、オンライン・オフラインのハイブリッドで開催されているスクラムのカンファレンスです。現地会場は400人以上、オンラインでは200人以上の参加があったようで、現地会場は講演やワークショップが賑わっていただけでなく、廊下などあちこちで人が集まり会話をしている熱気あふれる空間でした。
以上、前置きでした!以下本文です。
ConfEngine: Dynamic Reteaming, The Art and Wisdom of Changing Teams
Heidi Helfand 氏によるキーノートでは、チームが分かれたり統合されたり、人が増えたり入ったりといったチームの変化(Dynamic Reteaming)のパターンと、どのような関わり方をしていけばよいかを紹介してくれた。
その中でも、さまざまなチームの変化がある中でそれぞれのシチュエーションに有効な具体的なワークが紹介されているのが興味深かった。弊社も2年前に1つのスクラムチームから2つのスクラムチームに分かれ、LeSSでの開発に移行した経験があるので、当時知りたかった。
チームの変化のパターンの話も面白かったが、実用的なところが私の印象に残ったので、面白い・やってみたいと思ったエピソード・ワークをメモしておく。
有効な場面:誰かがチームに入ってきたとき
ペアで調査や実装、他にも何でも行うワーク。
ペアプロをやっているチームは多いのではないかと思う。私のチームでもやっているが、ペアプロに限らず不具合調査や環境構築をペアで行うことは知識の共有のみならずお互いのことを知る・親近感を持つためにも有効。とくにリモートワークだと雑談やランチといった接触の機会が限られてくるので、目的を持った作業に一緒に取り組む機会を作るのは良い。
有効な場面:誰かがチームに入ってきたとき
自分のスキル、趣味、この1ヶ月で何を学んでいきたいか、何を教えることができるかなどをポスターの形にまとめて展覧会のように見て回ったり話したりする機会とのこと。
面白かったのが、けっこう大掛かりなワークなので「新しい人が入るたびにやってたら大変じゃないの?」って思われがちだけど、このワークは新しい人のためだけにやるものではないのだ、ということ。新しい人の加入というイベントをきっかけにして、既存のメンバー同士もお互いのことを知る機会になるのだとか。
弊社でも自己紹介的なドキュメントがあり新しい人が入るたびにメンテしてね〜という声掛けはあるが、作りっぱなしにせず、みんなで見る機会があるというのは確かに面白そうだと思った。フルリモートのチームでもMiroなどでできそうなワークなので、覚えておきたい。
有効な場面:誰かが会社やチームから抜けたとき
海岸まで行ってみんなで叫ぶという習慣を作ったマネージャがいたが、そのマネージャが退社した後も同じように海岸で叫ぶことを続けたチームがあった、とのこと。海岸まで行って叫ぶの楽しそうで羨ましいな。
誰かが大事にしていた価値観や行動をそのまま行うというのは、チームにとってよい習慣を保存するということにもなるし、チームにいた誰かのことを尊重することにもなると思った。Heidi氏は旅立ちを祝うことにもなると話されていた。そうやって自分がいなくなったあとも自分がやったことが残ると思うと、できることは今全部やろうって気持ちになれそう。
チーム分割にもいろいろなきっかけがあり、例えば大きくなったから分けないといけない、とかはわかりやすいが、それだけではないというエピソード。
例えばこれまでウォーターフォールで開発していた大きなチームが、新しい事業を機にアジャイルを試したいといったとき、いきなり全員でアジャイルに挑戦して全員失敗したら大変。そこで、まずは小さなチームに分け、そのチームでアジャイルをやってみる、という目的のためのチーム分割もアリですよとのこと。
有効な場面:チーム分割をするとき
チーム分割をすることになったら、これまでやってきたメンバー同士で感謝しあい、チーム分割をお祝いするのがよいとのこと。
私自身もチーム分割を経験したことがあるが、そのときは節目だからといってとくに何もしなかった。みんなで集まってケーキを食べるとかわざわざ時間をとってZoomに集まるとかは難しいかもしれないけど、これまでの感謝をSlackで伝えるとかからでもよさそう。次にチームが大きく組み変わるときは何かやってみようと思った。
有効な場面:チームが合流するとき
スペシャリストの不足や会社の縮小などで、複数のチームが合流するとき、とくに買収などによる合流に有効なワーク。
それぞれのチームが自分たちがやってきたこと、何を誇りに思っているか、何を大事にしてきたか、メンバーの追加や脱退をタイムラインの形式にまとめて紹介しあう。たしかにこれまで別々のチームだった人たちが急に一緒に働くことになったとき、どういう価値観を持っているかを知ることは大事だと思う。
別のセッションでもそういう話があったけど、雑談や懇親会ももちろん効果がないことはないが、共有すべきこと(価値観ややってきたこと、だ時にしていること)に焦点をあてて話すことで、より関係性をよくする時間にできそうだと思った。
この記事では “Dynamic Reteaming, The Art and Wisdom of Changing Teams” のセッションについて、チームのさまざまな変化6に応じ、どのようなワークが有効かという観点から紹介した。
チームの分割や合併は困難を伴ったり、新しい形が馴染むまでに時間がかかるものだと思っていた。もちろん簡単なことではないが、1つのチームがいつまでも同じ形でいられるということはない。しかしこのセッションを通して、そのときどきに応じて適切な働きかけを選ぶことができることを知ったおかげで、チームの変化に対する苦手意識や不安が少し和らいだように思う。